microCMSと Strapiの コスト比較|月額・API数で 選ぶヘッドレスCMS
microCMSとStrapi、どちらを選ぶべきか。月額料金の仕組み、Strapiのインフラ費用(Heroku・S3)、API数とセキュリティ要件による判断の目安、プロジェクト別の使い分けを、両方を導入してきたTamaTのエンジニアが解説します。
こんにちは!TamaTエンジニアの増田です!
Jamstack構築でWebサイトを開発する際、ヘッドレスCMSの選択は重要な検討事項となります。当社ではmicroCMSとStrapiを採用することが多いですが、プロジェクトの特性に応じて使い分けを行っています。
この記事では、両者の特徴を詳しく解説し、どのような場合にどちらを選択すべきか、実務での知見をもとに解説します。
microCMSとStrapiの基本的な特徴
microCMSは日本の企業が開発・運営するフルマネージドのヘッドレスCMSです。日本語対応が充実しており、直感的な管理画面と堅牢なインフラが特徴です。開発者体験も良好で、APIの利用がスムーズに行えます。公式のドキュメントも豊富ですし、弊社はパートナー提携を結んでいるため柔軟な問い合わせにも対応していただけます。
一方、StrapiはオープンソースのヘッドレスCMSで、Strapi社(フランス)が中心となって開発を進めています。オープンソースなので高いカスタマイズ性と柔軟なAPIデザインが可能で、セルフホスティングによる運用ができます。活発なコミュニティによるサポートも魅力の一つです。
APIとは
ヘッドレスCMSでは、更新が必要なコンテンツの種類ごとにAPIを作成します。言い換えると、Webサイトで更新したい項目の数が、必要なAPI数となります。
例えば、コーポレートサイトで「ニュース」「採用情報」「お問い合わせ」の3セクションを更新可能にしたい場合、3つのAPIが必要になります。
ECサイトの場合は以下のようなAPIが必要になることが多く、API数は増える傾向にあります:
- 商品情報
- カテゴリ
- 商品タグ
- キャンペーン情報
- 特集ページ
- お知らせ
このAPI数が、CMSの選択に大きく影響します。
次の項目では、この観点から両者を比較してみましょう。
API利用量による判断
CMSの選択において、API利用量は重要な判断基準となります。
microCMSの料金は、使えるAPIの数(更新できるコンテンツの種類の数)やメンバー数で決まるプラン制です。APIの呼び出し回数(リクエスト数)は全プランで無制限です。有料プランで使った分だけ費用が増えるのは、データ転送量の超過分、APIやメンバーの追加分です。小規模から中規模のプロジェクトに適しています。
しかし、API利用量が多くなると状況は変わってきます。
数十個のAPIが必要なシーンではStrapiの採用を検討する価値があります。Strapiはセルフホスティングで運用するため、API利用に制限がなく、大量のリクエストにも対応できます。
具体的に見てみましょう。
開発・運用のコスト比較
microCMSのコスト構造
初期開発コストは比較的低く抑えられます。これは、セットアップが容易で管理画面の構築が不要なためです。また、最安値のプランでは無料で使える上、インフラ管理やバージョンアップ対応が不要なため、保守コストも低く抑えることができます。
一方で、API数が多かったり、高度なセキュリティ要件に対応しようとしたりすると、上位のプランが必要になります。IP制限・権限管理はBusinessプラン以上、監査ログ・シングルサインオン・2要素認証の必須化はEnterpriseプランの機能です。
また、Businessプラン以上では、コンテンツを過去のバージョンに戻す機能(コンテンツの過去バージョン復元)が使えます。HobbyプランとTeamプランにはこの機能が無いため、コンテンツ単位で元に戻したい場合は、エクスポートなどで自分たちで備えておく必要があります。
料金プランは次のとおりです(2026年10月11日時点、税抜。2025年6月10日改定後の内容):
- Hobby: 月額0円(API数5個、メンバー数3人、データ転送量20GB/月)
- Team: 月額4,900円〜(API数10個、メンバー数3人、データ転送量200GB/月。APIは1個2,000円、メンバーは1人1,200円で追加可能)
- Business: 月額75,000円〜(API数30個、メンバー数20人、データ転送量1TB/月、IP制限・権限管理・過去バージョン復元)
- Enterprise: お見積もり(API数50個〜、メンバー数50人〜、監査ログ・シングルサインオン・2要素認証の必須化)
APIの呼び出し回数は全プランで無制限です。データ転送量が上限を超えた場合、有料プランは超過分が課金されます(Team 20円/GB、Business 18円/GB)。無料のHobbyプランはクレジットカードの登録なしで使えますが、データ転送量が月20GBを超えると、翌月1日にリセットされるまでAPIが使えなくなります。本番のサイトで使う場合は、アクセス数と画像の量からデータ転送量を見積もっておくと安心です。
出典: microCMS「料金プラン」https://microcms.io/pricing(2026年10月11日確認)
Strapiのコスト構造とインフラ構成
Strapiの場合、API数、メンバー数は無制限です。メンバーは権限付与を行え、他のメンバーの入稿記事は見れないようにする、などの設定も可能です。
CMSそのものは無料で利用できますが、インフラ関連のコストが必要となります。当社では、以下のような構成を採用することが多いです。
Strapiサーバーのホスティング
- Herokuを使用
- Standard-1X〜2X(月額$25〜$50)+ Heroku Postgres(Standard-0プランの場合 月額$50)= 合計: 月額$75〜$100程度(2026年10月11日時点、Heroku公式の料金ページより)
画像ストレージ
- AWS S3を採用
- 東京リージョンの場合: S3 Standard 月額$0.025/GB。AWS BackupでS3をバックアップする場合は、さらに月額$0.06/GBで、合計: 月額$0.085/GB程度(2026年10月11日時点、AWS公式の料金より。保存容量の料金のみで、リクエストやデータ転送などの料金は別にかかります)
また、Herokuには豊富なアドオンが用意されており、これらを活用することで、運用に必要な監視やバックアップの体制を容易に整えることができます。
なお、microCMSではIP制限はBusinessプラン以上、監査ログはEnterpriseプランの機能です。Strapiの場合、本体の監査ログ(Audit Logs)は有償のEnterpriseプランの機能です。
必要に応じて段階的にアドオンを追加していけるため、プロジェクトの成長に合わせて柔軟にスケールすることが可能です。
このように、更新コンテンツ(API)が10個前後に収まるか、どこまでセキュリティや運用上の要件を厳密にするか、といったあたりが採用の判断基準になってくるかと思います。なお、microCMSのTeamプランはAPIを1個2,000円/月で追加できるため、10個を少し超える程度であれば、追加料金を含めて比べるのが現実的です。
カスタマイズ性と開発の自由度
microCMSは即座に利用を開始でき、安定した機能を提供します。標準機能が充実しているため、一般的なコンテンツ管理のニーズには十分に対応できます。ただし、カスタマイズには一定の制限があり、独自機能の追加には限界があります。
一方、Strapiは完全なカスタマイズの自由度を持ち、プラグイン開発やデータ構造の柔軟な設計が可能です。例えば以下のようなシーンが挙げられます。
- SNSなどの外部連携
- データアップ時の自動整形
- 在庫管理システムとの同期
プロジェクトタイプ別の推奨選択
microCMSが適するプロジェクト
コーポレートサイトや中小規模のブログ・ニュースサイトでは、microCMSが優れた選択肢となります。
また、早期ローンチが求められるプロジェクトでも、microCMSの容易な導入と運用の特徴が活きてきます。
ECサイトでも、商品数が限定的で、シンプルな商品管理で十分な場合は、microCMSで十分対応可能です。
TamaTの導入事例
Strapiが適するプロジェクト
Strapiは、多数の更新可能なコンテンツ(API)を必要とするプロジェクトに適しています。ニュース、商品、カテゴリ、タグ、キャンペーンなど、多岐にわたるコンテンツを管理する必要がある場合、Strapiのセルフホスティング型の特性により、API数を気にすることなく運用できます。
また、コンテンツ管理の要件が複雑で、独自のビジネスロジックを必要とするプロジェクトでも力を発揮します。データモデルが標準的なものでは収まらない場合、Strapiではそれらを自由に設計できます。コンテンツ同士の複雑な関連付けや、独自の属性を持つデータ構造が必要な場合でも柔軟に対応可能です。
TamaTの導入事例
まとめ
CMSの選択は、プロジェクトの成功に大きく影響を与える重要な決定です。ざっくりとした判断基準では、API数が10個以下で標準的な機能で十分な場合はmicroCMSを、数十個規模のAPIや高度なカスタマイズが必要な場合はStrapiを選択することで、最適な開発・運用が可能となります。
TamaTでは、これらの特徴を踏まえた上で、クライアントのニーズに最適なソリューションを提案しています。プロジェクトの規模や要件に応じて、最適なCMSの選定をサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
